離婚とお金
離婚とお金の問題で真っ先に問題となるのが慰謝料の話となるでしょう。
もっとも、慰謝料以外にも離婚の際には財産分与などが問題となります。
本記事では、離婚の際に関わってくる慰謝料や財産分与についての詳しい解説をしていきます。
◆慰謝料
よくドラマなどで離婚の際に慰謝料を請求するといったシーンをご覧になられた方が多くいらっしゃると思います。
もっとも、離婚をしたからといって必ずしも慰謝料を請求できるわけではありません。
離婚の原因にはさまざまなものがありますが、例えば性格の不一致などは双方に原因があるものとはいえないことが多くなっているため、慰謝料を請求することが難しくなっています。
そもそも慰謝料とは、離婚によって精神的損害を被った場合に、相手に請求することができる損害賠償となっているため、請求をするためには、相手に何かしら離婚に至った原因が必要となります。
離婚に至った原因を作出した側の配偶者を有責配偶者といいます。
では、どのような場合に有責配偶者に該当するかを解説していきます。
●相手の不倫や浮気
まず慰謝料の請求原因としてオーソドックスなものとして挙げられるのが、相手の不倫や浮気を理由とする離婚です。
配偶者の浮気によって精神的な病気になってしまう方もいらっしゃるため、精神的苦痛によって生じた損害や、単純に夫婦生活を継続することができなくなったことを理由に慰謝料を請求することが可能となっています。
もっとも配偶者と浮気相手の双方から慰謝料を二重取りすることはできません。
しかしながら、浮気相手からの賠償が十分とはいえない場合には、配偶者に対しても重ねて慰謝料を請求することができます。
●相手のDVやモラハラ
相手のDVやモラハラも肉体的・精神的苦痛を伴うため、慰謝料の請求原因となり得ます。DVに関しては、実際に生じた怪我の写真や病院での検査結果などが証拠となるため、比較的簡単に証拠を集めることができますが、モラハラに関しては、モラハラ発言をしているところを録音したり、撮影したりする必要があるため、証拠収集のハードルがDVに比べると少し高くなっています。
●その他
上記で紹介したもの以外にも、さまざまな理由で慰謝料が認められることがあります。例えば女性の場合には離婚後に社会復帰をして生計を立てていくことが難しいケースが非常に多く、その点に関しての慰謝料を請求することもできます。
そのほかにも、夫婦間での性交渉の拒絶などにも慰謝料が認められたケースがあります。
配偶者の行為が慰謝料原因になりうるかどうかは、実際に弁護士にご相談ください。
◆財産分与
財産分与とは、夫婦共同で築き上げた財産を公平の観点から、離婚の際にそれぞれ平等に分配する制度となっています。
夫婦共同で築き上げたといっても、専業主婦の場合には、基本的に家事をしており所得を得ていないため、財産分与ができないのではないかと、相談をされる方がいらっしゃいます。
しかしながら、専業主婦が自宅でしっかりと家事をこなすことも、夫婦の財産を築き上げる上で十分に必要な行為であるため、その点については心配する必要はありません。
離婚をする際には、財産分与について何も取り決めをせずに離婚を成立させてしまい、本来得られるはずの財産を無意味に手放してしまう方が多くなっているため、財産分与についてはしっかりと話し合いをしておきましょう。
また財産分与の内訳等についても、口約束だけではなく、離婚公正証書によって内容をしっかり確定しておく必要があります。
財産分与は大きく分けて3つの種類があります。以下でそれぞれについて詳しく解説をしていきます。
●清算的財産分与
これが一番典型的な財産分与の形態と言えるでしょう。
これは上記の説明の通り、婚姻生活中に夫婦で築き上げた財産を、財産取得や形成の貢献度に応じて分配するものとなっています。
離婚原因がどのようなものであり、どちらに原因があるかに関係なく、夫婦で築いた財産は夫婦間でのみ分け合おうというものです。
そのため、離婚原因となった配偶者からの請求も認められます。
●扶養的財産分与
離婚をした際に夫婦の一方が生活に困窮してしまうような場合に、その生計の補助を目的とした扶養をするための財産分与です。
一方が病気を患っていたり、経済力の弱い専業主婦や高齢の場合に認められることがあり、経済力の弱い配偶者に対して、離婚後もその者の生活を扶養するため、一定の額を定期的に支払うという方法が一般的なものとなっています。
●慰謝料的財産分与
一方の配偶者の行為によって、もう一方の配偶者に損害が発生したような場合(不貞行為やDVなど)、その発生した損害に対する慰謝料としての意味を持つのが、慰謝料的財産分与です。
本来は慰謝料請求と財産分与は別個の制度であるため、慰謝料と財産分与は別々に請求するのが原則となっています。
●財産分与の対象となる財産
財産分与の対象となる財産を共有財産といいます。
共有財産に該当するのは、夫婦共同の名義で購入した土地や建物、家具や家電などはもちろんのこと、預貯金や保険解約返戻金、退職金に至るまで、夫婦が共同で取得したといえる財産については、全てが対象となります。
もっとも事実上夫婦生活が破綻してしまっているような場合であっても、それ以降の財産まで対象となるのは納得がいかないという方もいらっしゃるでしょう。
そのような場合であっても、別居を開始していれば、別居時を基準に財産分与の対象が確定します。
家庭内別居の場合はその基準時がいつになるかで、よく争点となるため、弁護士にしっかりと相談をした方が良いでしょう。
他方で、財産分与の対象とはならない財産を特有財産といいます。
特有財産は、夫婦となる前にしていた貯金や、夫婦となる前に購入していた財産などが該当します。
ただし、特有財産であっても、夫婦共同の努力によってその価値が維持されたと判断されるようなものである場合には、財産分与の対象となってしまう可能性があるため、注意が必要となります。
望記綜合法律事務所では、東京都を中心に離婚・交通事故・不動産トラブル・債権回収・労働問題について取り扱っております。
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