未払い残業代の請求は退職後でもできる?時効や注意点など
働いた分の残業代が支払われていないと気づいた場合、すでに退職していても請求できるのか疑問に感じる方も多いでしょう。
退職後でも未払い残業代を請求できるケースはありますが、時効や手続きの方法を理解しておくのが重要です。
今回は、退職後の未払い残業代請求の可否や時効、注意点を確認します。
退職後でも未払い残業代は請求できるのか
退職後であっても、過去に発生した未払い残業代は請求できる場合があります。
第159回労働政策審議会労働条件分科会によれば、残業代などの請求権の時効は、当面「3年」になるとされています。
在職しているかどうかにかかわらず、時効の起算日から3年以内であれば、未払い残業代の請求が可能です。
退職後に未払い残業代を請求する流れ
退職後の請求では、在職中よりも証拠収集や連絡手段が限られるため、手順を押さえて行動する必要があります。
①証拠の収集
②会社への請求
③労働基準監督署への申告
④法的手段の検討
それぞれ確認していきましょう。
①証拠の収集
実際の労働時間を証明できる資料を集めます。
具体的には、以下のようなものが該当します。
- タイムカード
- 勤怠記録
- 業務メール
- シフト表
- 給与明細
実際の労働時間を証明できるかどうかがポイントです。
②会社への請求
まずは会社に対し、未払い残業代の支払いを求めます。
書面やメールで明確に金額と根拠を示すのが一般的です。
③労働基準監督署への申告
未払い残業代を請求しても、会社側が応じないケースもあります。
労働基準監督署に申告すれば、是正勧告を出してもらえる可能性があります。
④法的手段の検討
交渉が難航する場合は、訴訟などの法的手段を検討します。
訴訟では、有力な証拠がそろっているかどうかがとても重要です。
退職後の未払い残業代請求で注意すべき点
請求自体は可能でも、状況によっては回収が難しい場合があります。
事前に注意点を把握しておきましょう。
会社の経営状況
会社が経営難や倒産している場合、判決を得ても回収できない可能性があります。
ただし国の「未払賃金立替払制度」を利用して、一定条件のもとで未払いの一部を回収できる可能性があります。
証拠不十分による請求棄却
残業の事実や時間数を裏付ける証拠がないと、請求が認められない場合があります。
口頭での証言や、自己申告だけでは証拠として弱くなるため、客観的な証拠を用意してください。
退職時の合意書の有無
退職時に「未払いはない」とする合意書に署名している場合、請求が難しくなることがあります。
ただし、合意書の効力が制限されるケースもあります。
まとめ
退職後でも、未払い残業代は時効内であれば請求可能です。
ただし証拠が不足していたり、会社が支払い能力を欠いている場合は回収が困難になる可能性があります。
法的手段を取る場合には、弁護士などの専門家への相談をおすすめします。
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